コラム

なぜカメラ検査システムで“失敗”が起きるのか 

カメラ検査やAI画像認識は、近年製造現場で欠かせない存在になっています。しかし実際の導入現場では、「期待した精度が出ない」「誤検知が増える」「運用が破綻する」という声も少なくありません。 
その多くは、システムの性能ではなく “導入プロセスと設計の甘さ” に起因しています。 

以下では、現場で頻発する失敗例を整理しながら、効果的な回避策を紹介します。 

よくある失敗例と回避策

失敗例① 光源・照明を軽視してしまう

■よくある事例 

  • カメラやAIを高性能にしたのに、照度が足りず認識率が安定しない 
  • 昼夜で明るさが変わり、NG判定が急増 
  • LED照明にムラがあり、影によって誤検知が発生 

画像検査の約7割は「光」が決めると言われます。 
どれほど高性能なAIでも、入力画像が不安定だと学習効果は激減します。 

■回避策 

  • まずテスト段階で 照度計測(ルクス値) を取る 
  • 拡散板・リング照明などで 影を出さない配置 にする 
  • LEDの寿命劣化を見越して 定期交換サイクル を設計 
  • 屋外なら時間帯別の「変動要因」を踏まえたシナリオ検証を実施 

失敗例② 撮影位置・ワーキングディスタンス(カメラのレンズ先端からピントを合わせた被写体までの距離)が不適切

■よくある事例 

  • 焦点が合いにくい距離でカメラが固定されている 
  • 角度によって対象物の形状が歪み、誤検知が発生 
  • 設置後に現場レイアウトが変わり、再調整が必要になる 

視野角(FOV)やワーキングディスタンスが設計されていないケースは意外と多く、検査精度が安定しません。 

■回避策 

  • 撮影距離・角度を 事前にCADでシミュレーション 
  • 現場の搬送速度、位置ズレの幅まで踏まえて 撮影可能範囲 を算出 
  • 設置後も調整しやすいよう 可動式アーム を採用

失敗例③ データ不足のままAI学習を進めてしまう

■よくある事例 

  • “正常データだけ”で学習してしまう 
  • 実際のラインでは、汚れ・反射・バラつきが多く認識率が低下 
  • NGデータが足りずAIが誤差を判定できない 

AIは「例外に強いモデル」を作るほど精度が安定します。 
しかし現場では、数十枚程度のデータで学習を完了してしまい、後からトラブルになることがよくあります。 

■回避策 

  • 最低でも 300〜1,000枚 のデータを収集(実績値) 
  • 反射、汚れ、角度ブレなど「厳しめの条件」を意図的に撮影 
  • NGデータは数が少ないため、AI側の補正ロジックを活用 
  • データ収集時は、季節・時間・照度の変化も検討する

失敗例④ 運用フローを設計しないまま導入する

■よくある事例 

  • 誤検知時の対応ルールがなく現場が混乱 
  • 画像の保存容量が不足してしまう 
  • 定期的な再学習のスケジュールが決まっていない 

検査精度を保つには 運用ルールの整備 が欠かせません。 
特にAIの場合、モデルの劣化(ホコリ・汚れ・指紋や環境要因)を放置すると精度が急落します。 

■回避策 

  • 「誤検知が起きたら誰がどうするか」を明確に 
  • 画像保存の期間・形式(JPEG/PNG/RAW)をルール化 
  • 月1回の再学習、照度チェックを運用サイクルに追加 
  • ダッシュボードで「認識率の推移」を可視化

失敗例⑤ 見積金額に惑わされ、最適なシステムを選べない

■よくある事例 

  • 最安のカメラを選んだ結果、照明・PCスペックを後から追加する羽目に 
  • ライセンス費用や保守費を見落として、想定外のランニングコストが発生 
  • 将来ライン拡張した際に“増設不可”で再導入が必要になる 

初期費用だけで判断すると、長期的にはコスト高になるケースも多いです。 
特にAI画像認識は、CPU/GPU性能・カメラ数・照明数 によって費用構造が変わります。 

■回避策 

  • 導入後5年間の 総保有コスト(TCO) で比較 
  • ライン追加時の拡張性(カメラ台数、処理能力)を確認 
  • 保守対応の範囲(モデル再学習の有無)を明確化 

失敗例⑥ 現場スタッフが使いこなせない

■よくある事例 

  • UIが複雑で生産現場の担当者が触れない 
  • トラブルが起きる度に外部業者に依頼し、対応が遅れる 
  • 現場視点での「改善の余地」が見えなくなる 

どれほど優れたシステムでも、現場が使えなければ意味がありません。 

■回避策 

  • 操作は「3クリック以内」で完結するUIを選ぶ 
  • 標準マニュアル+現場用の“カンタン版手順書”を作成 
  • エラーコードを可視化し、現場でも初動対応できる設計に 
  • 導入前にトライアルを実施して 現場の声を反映

失敗を避けるために必須の3つの導入ステップ

① 事前検証(PoC)で“最悪条件”をテストする 

反射、汚れ、揺れ、明暗差など、実ラインに近い状態で撮影し、 
AI・画像処理の限界値を把握します。 

② 現場と一緒に運用フローを作る 

検査結果の扱い、エラー時の対応、データ保存などを明確化し、 
誰でも使える仕組みを作ります。 

③ 導入後のメンテナンスを計画に組み込む 

再学習や照度チェックを定期的に実施することで、 
安定した認識率を維持できます。 

まとめ|カメラ検査は“設計と運用”が成功の鍵

カメラ検査システムが失敗する多くの理由は、機器そのものではなく導入プロセス にあります。 
照明・撮影距離・データ量・運用フローという基本を押さえるだけで、認識率は大きく改善します。 

もし、 
「自社ラインで本当に導入できるか知りたい」 
「AI/画像検査の比較をしたい」 
「精度検証のポイントを専門家に相談したい」 
と感じられた方は、ぜひ一度ご相談ください。 

より詳しい資料をご希望の方は、こちらから資料を請求してみてはいかがでしょうか?