コラム

医療・介護施設のAI見守りカメラ|転倒検知・徘徊者監視の実装と運用

この記事の要点

  • 夜勤2名で40床を見守る施設では、巡回の合間の転倒や徘徊に気づけない
  • 既設カメラにAI-BOX2を後付けし、転倒・徘徊を検知してスマホに即時通知
  • プライバシーマスキングと事前の同意取得で、利用者と家族の不安を軽減


夜勤明けのスタッフが、転倒の通知を受けたのは午前3時でした。居室カメラが利用者の異常姿勢を検知し、スマートフォンに映像が届いていました。駆けつけるまでに1分かかりませんでした。導入前は、巡回の合間に倒れていても気づけない時間がありました。

医療・介護施設における見守りの課題と現状

夜勤スタッフが2名しかいない施設で、40床を見守っていました。巡回は1時間に1回が限界でした。その間に転倒が起きても、発見が遅れます。徘徊も同じでした。認知症の利用者が玄関まで歩いてしまい、施錠前に外へ出かけたことがありました。事故にはつながりませんでしたが、施設長は「次はないかもしれない」と話していました。人の目だけでは、どうしても限界がありました。記録も曖昧でした。転倒の原因を探ろうにも、映像がなければ推測に過ぎません。スタッフの記憶も食い違います。家族への説明も難しくなります。見守りの質を上げるには、人を増やすか、技術で補うかのどちらかでした。

  • 夜間の巡回間隔は最短でも1時間
  • 転倒・徘徊の発見遅れが事故リスクを高める
  • 映像記録がないと原因分析も困難

AI見守りカメラ(AI-BOX2)とは|基本機能と特徴

AI-BOX2は、既設のカメラに後付けできるAI解析装置です。カメラを全て入れ替える必要はありません。映像をリアルタイムで解析し、転倒・徘徊・滞留といった異常行動を検知します。検知した瞬間、スタッフのスマートフォンやインカムに通知が届きます。映像も同時に送られるため、現場へ向かう前に状況を把握できました。設置台数を抑えられる点も現場では評価されていました。360°カメラを使えば、1台で居室全体をカバーできます。導入コストと運用負担の両方を抑えながら、見守りの範囲を広げられます。プライバシーマスキング機能も標準で搭載されており、映したくない場所や人物を自動で隠せます。

  • 既設カメラに後付け可能なAI解析装置
  • 転倒・徘徊を検知し即時通知
  • 360°カメラで設置台数を削減

転倒検知機能の仕組みと通知フロー

転倒検知は、人の姿勢変化をAIが判定します。立位から臥位への急激な移動を捉え、転倒と判断します。検知エリアは自由に設定できます。ベッド周辺だけ、あるいは居室全体を対象にするかは、施設の運用次第でした。通知フローは次のとおりです。カメラが異常姿勢を検知すると、AI-BOX2が即座に解析し、スタッフのスマートフォンに通知を送ります。同時に、居室のスピーカーから音声案内を流し、パトライトを点灯させることも可能でした。スタッフが不在でも、利用者本人や周囲の人が異常に気づく仕組みです。複数人が同時に映っていても、それぞれの転倒を個別に検出できます。

  • 立位から臥位への姿勢変化を検知
  • 検知後、スマホに通知
  • スピーカー・パトライト連携で現場にも警告

徘徊者検知機能の仕組みと通知フロー

徘徊検知は、特定エリアへの侵入や滞留で判定します。玄関付近に検知ラインを設定し、夜間にそのラインを越えた人物がいれば通知が届きます。顔認証と組み合わせれば、徘徊リスクのある利用者だけを対象にすることもできました。通知は転倒検知と同じフローです。検知した瞬間、スマートフォンに通知され、スタッフが即座に状況を把握できます。玄関に到着する前に、利用者へ声をかけることも可能でした。双方向通話機能があれば、カメラ越しに「どうされましたか」と尋ねられます。

  • 特定エリア侵入・滞留で徘徊を検知
  • 双方向通話で遠隔から声かけ

プライバシーマスキング機能によるプライバシー配慮の実装

居室にカメラを設置する際、最も懸念されたのはプライバシーでした。利用者本人だけでなく、家族からも「常に監視されているようで不安」という声がありました。プライバシーマスキング機能は、その不安を軽減します。トイレや着替えエリアなど、映したくない場所を指定すれば、その部分だけ黒塗りやモザイク処理されます。人物の顔だけを自動でマスクする設定も可能でした。映像は施設内のサーバーに保存され、外部に送信されません。閲覧できる職員も限定し、アクセスログを記録します。映像の保存期間は7日間とし、それを過ぎたデータは自動消去されます。導入前に、利用者と家族へ説明会を開きました。カメラの設置目的、映像の取り扱い、マスキング機能の仕組みを丁寧に伝え、同意書を取得しました。説明後、家族からは「これなら安心できる」という反応が多かったと、施設の担当者は振り返っていました。

  • トイレ・着替えエリアを自動マスク
  • 映像は施設内保存、閲覧者を限定
  • 利用者・家族への事前説明と同意取得

よくある質問

Q: 既設の防犯カメラにも後付けできますか?

A: ネットワークカメラであれば対応可能です。アナログカメラの場合、エンコーダーを介して接続できます。

Q: 映像の保存期間はどれくらいが適切ですか?

A: 法律で一律の基準はありませんが、7日間前後が一般的です。利用目的に応じて施設ごとに設定します。

Q: 利用者の同意は必ず必要ですか?

A: 居室は私的空間のため、本人・家族への説明と同意取得が望ましいです。運用ルールを明文化しておくことを推奨します。

Q: プライバシーマスキングは自動で機能しますか?

A: 設定したエリアや顔を自動でマスクします。設定ミスによる映し忘れがないよう、導入時に確認が必要です。

まとめ

夜勤スタッフ2名で40床を見守る施設が、AI見守りカメラを導入しました。転倒検知は姿勢変化を捉え、徘徊検知は特定エリア侵入で通知します。プライバシーマスキング機能で、トイレや着替えエリアを自動で隠し、利用者・家族の不安を軽減しました。導入前の説明会で同意を取得し、家族からも「安心できる」と評価されました。

巡回の合間の「気づけない時間」を、今あるカメラで減らしませんか?