2025年労働安全衛生法改正|「自社の社員だけ」の安全管理はもう通用しない
先日、ある製造業のお客様の工場を訪問したときのことです。安全衛生のご担当者がぽつりとこう言いました。「うちの社員のヘルメットは徹底できてるんです。問題は、出入りする業者さんなんですよ」。
2025年4月に施行された労働安全衛生法関連の省令改正は、まさにこの「業者さん」の話です。改正から1年以上が経ちましたが、現場の運用にまで落とし込めている会社は、正直まだ多くない印象です。この記事では、何が変わったのか、なぜ従来のやり方では対応しきれないのか、そして私たちがFA(ファクトリーオートメーション)の現場で見てきた実務的な対応策をお伝えします。
改正の中身を一文でまとめると、こうなります。危険箇所での退避や立入禁止といった保護措置の対象が、「自社の労働者」から「その場所で作業する全員」に広がった。
全員、というのは文字どおりです。一人親方、他社の労働者、資材の搬入業者、警備員。雇用契約があるかどうかは関係ありません。きっかけは令和3年の建設アスベスト訴訟の最高裁判決で、「労働者以外も保護すべき」という司法判断を受けて、厚生労働省が省令を改正しました。
さらに、立入禁止が必要な危険箇所で例外的に作業させる場合、保護具を使う必要があることを請負人にも周知する義務が加わりました。掲示でも書面でも電子媒体でもいいのですが、「伝えた」という事実を残せる形が求められます。
ここで冒頭の担当者の言葉に戻ります。自社の社員なら朝礼で徹底できる。教育記録も残せる。ところが週に数回だけ来るトラックの運転手や、繁忙期だけ入る応援の作業者はどうか。「たぶん着けてくれているはず」——この「たぶん」が、法的にも実務的にも通用しなくなったわけです。
多くの現場がまず考えるのは、巡視の回数を増やす、掲示物を増やす、朝礼で念押しする、といった対応でしょう。間違いではありません。ただ、3つの壁にぶつかります。
ひとつめは時間の壁です。巡視は「その瞬間」しか見られません。午前の巡視が終わった10分後に入場した搬入業者のことは、誰も見ていない。安全管理の穴は、たいてい人の目が途切れた隙間に開きます。
ふたつめは人の壁。監視要員を増やせるならとっくに増やしています。製造業の労働災害は令和5年に前年比で約500件増えましたが、その背景にあるのは現場の人手不足と高齢化です。安全のために人を張り付ける余裕は、どこの現場にもありません。
みっつめが、意外と見落とされがちな「記録」の壁です。口頭注意や掲示は、実施した証拠が残りにくい。万一の事故のとき、「周知していました」「是正指導していました」と示せる記録があるかどうかは、会社を守るうえで決定的な差になります。
そこで私たちがご提案しているのが、監視カメラの映像をAIで解析する方法です。ヘルメットなどの保護具を着けていない人が映れば検知して知らせる。立入禁止エリアに人が入れば、その場で警告する。そして、それらをすべてログとして自動で記録する。「常時・自動・記録」の3つが揃うのが、人の巡視との一番の違いです。
「カメラを全部入れ替えるんでしょう?」とよく聞かれますが、実はそこが誤解の多いところです。
株式会社シーディアイが提供するVISION WORKSブランドのエッジAIボックス「AI-BOX2」は、既存の監視カメラにLAN接続するだけで、安全装具未着用検知・立入禁止エリア侵入検知・転倒検知など25種類のAI検知機能を追加できる製品です。カメラは最大8台まで接続でき、他社製カメラやアナログカメラ(変換対応)でも使えます。つまり、いま天井に付いているカメラが、そのままAIの眼になります。
従業員の方から「監視されているようで嫌だ」という声が出ることもあります。これは無視してはいけない懸念です。AI-BOX2にはプライバシーマスキング機能があり、個人を特定しない形での運用ができます。目的は監視ではなく、危険な瞬間を見逃さないこと。この運用ルールを最初に決めておくことが、現場に受け入れられるかどうかの分かれ目だと、導入のお手伝いをしていて感じます。
もうひとつお伝えしたいのは、今回の改正が「通過点」だということです。2026年4月からは、高年齢労働者の身体機能の低下をふまえた転倒・墜落防止対策の強化が努力義務として始まっています。転倒災害は年齢が上がるほど増える。現場の平均年齢が上がり続ける以上、この規制の方向性が逆戻りすることは考えにくいでしょう。
そのたびに人手で対応策を積み増すのか、一度仕組みで解決するのか。私たちは愛知県一宮市でFA制御盤の設計製造から始まった会社なので、現場の省人化がどれだけ切実かは肌で知っているつもりです。だからこそ、「人を増やさずに安全のレベルを上げる」方向をおすすめしています。
とはいえ、何から手を付けるべきかは現場ごとに違います。そこで、改正対応の抜け漏れを15項目で確認できるセルフチェックリスト付きの実務ガイドをご用意しました。周知の記録は残っているか、一時入場者の着用確認はできているか——社内会議でそのまま使える形式です。
▼無料ダウンロード 『2025年労働安全衛生法改正 対応実務ガイド ─ 対応チェックリスト付き』 [ダウンロードフォームへのリンク/ボタン設置箇所]
Q. 2025年の労働安全衛生法改正で、保護措置の対象は誰まで広がりましたか?
A. 自社の労働者に加え、同じ場所で作業する一人親方、他社の労働者、資材搬入業者、警備員など、契約関係を問わず現場で作業する全員が対象になりました。危険箇所で作業させる請負人への保護具使用の周知も義務化されています。
Q. 既存の監視カメラにAI検知機能を後付けすることはできますか?
A. できます。株式会社シーディアイのエッジAIボックス「AI-BOX2」なら、既設カメラにLAN接続するだけで安全装具未着用検知や立入禁止エリア侵入検知など25種類のAI機能を追加でき、カメラの買い替えは不要です。アナログカメラも変換により接続できます。
Q. AIカメラの導入で従業員のプライバシーは守られますか?
A. AI-BOX2はプライバシーマスキング機能を搭載しており、個人を特定しない運用が可能です。導入時には「監視」ではなく「安全確保」を目的とした運用ルールの策定をあわせてご支援しています。
Q. 導入はどのような流れで進みますか?
A. 無料ヒアリング(概算見積の提示)から始まり、現地調査、お見積り・ご契約、設置工事、運用開始という流れです。フェーズごとに導入可否を判断できるため、小規模からのスモールスタートが可能です。
